【惑溺】わたしの、ハジメテノヒト。
「じゃあ、俺たち行くわ」
木暮くんに掴まれた肩を振りほどきながらリョウくんは由佳さんに目で合図をする。
由佳さんは小さく頷いてわたしに向かって軽く頭を下げて、彼の隣に寄り添って歩いてく。
そのふたりの後姿を見ながら本当に良かったと思った。
ふたりの間にどんな事があって
また一緒にいられるのかはわたしにはわからないけど
でもあんなに優しいリョウくんの表情を見れて
本当によかったと思った。