【惑溺】わたしの、ハジメテノヒト。
 

――西野リョウくん。



騒がしくて退屈なこの教室の中に、まるで一頭だけ紛れ込んでしまった野生で生きる獣のように、
ただ眠っているだけなのに圧倒的な存在感と異質な雰囲気を纏う男の人。

うつむいた黒い髪の間から、彼の綺麗な唇とカタチのいい顎のラインが見える。

そしてそこから続く首筋が妙に色っぽくて、あたしはいつもドキドキしながら彼の事を盗み見る。



< 3 / 171 >

この作品をシェア

pagetop