【惑溺】わたしの、ハジメテノヒト。
「きゃっ!!」
過敏になった肌の上に突然吹き付けられた息に、あたしは驚いて飛び上がる。
「驚きすぎ」
両手で首を押さえ涙目で目を丸くするあたしに、リョウくんは呆れたように小さく笑った。
「だ、だってリョウくんが突然息吹きかけるから……!!」
まだドキドキが治まらなくて体中強張らせたまま瞬きも忘れてリョウくんを凝視していると
「腕、出して」
鉄柵から手を離しながらリョウくんが言った。
「え?」
首を押さえていたあたしの左手をリョウくんはゆっくり取って、カーディガンとシャツの袖をめくりあげる。
露わになったあたしの二の腕にリョウくんの長い指が優しく触れる。
肌の上に彼の指が触れるだけで泣きそうなくらいドキドキする。
「リョウくん……?」
どうしていいのかわからずにされるがままに固まっていると、リョウくんは小さく笑ってあたしの二の腕の内側にそっと唇をつけた。
温かく柔らかい感触に
思わずビクリッと身体が跳ねる。
リョウくんが、
あたしの腕にキスしてる……!
自分がキスマークをつけてって言ったのに、今のこの状況が信じられなくて心臓が止まりそうだ。