【惑溺】わたしの、ハジメテノヒト。
 
首筋に押し当てられた彼の熱い唇。

「やっ……」

思わず身をよじって肩をすくめると、無防備になった反対側の耳に温かい舌の感触。

「ちょ……っ。リョウくっ……んん!」

いたぶるようにゆっくりと耳のふちをなぞる意地悪な舌。

振り払おうと力をいれてもはじめて感じる感覚に
抵抗する心も冷静な思考も
全て熱く溶かされて狂っていく。

「あ…んっ!や……」

耳元をなぞる温かく湿った舌の動きに
甘く微かな吐息の揺れに
信じられないくらい敏感に身体が反応して
全身から力が抜けた。

リョウくんの長く綺麗な指が
あたしの頬を、首を、鎖骨を、優しくなぞったと思うと
ふと胸元が涼しくなった。

気付くといつの間にかボタンが外され、大きくはだけた制服のシャツの隙間から
緊張で激しく鼓動を繰り返す自分の胸が見えていた。

「きゃっ!!!」

恥ずかしさで悲鳴を上げながら慌てて両手で胸を隠そうとすると

「……うるせ」

耳元で響く、不機嫌な声。

「やっだめ!リョウく……!!」
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