【惑溺】わたしの、ハジメテノヒト。
狂いそうな理性をふりしぼり必死で抵抗するあたしを、リョウくんは片手で軽々と押さえつける。
「ちょっと、黙れよ」
冷たくそう言ったかと思うと、意地悪な微笑をうかべる綺麗な唇に強引に口を塞がれた。
「んんん……っ!!」
はじめて触れる男の人の唇の感触。
リョウくんの唇が
あたしの唇に重なってる……!
そう思うだけで全身をゾクゾクと感じたことのない甘いしびれが突き抜ける。
「やっ……」
やめて、お願い……
唇が離れるたびにそう言葉にしようと口を開くと、またすぐに唇を塞がれる。
リョウくんの大きな手が無駄な抵抗をくりかえすあたしの顎をつかまえて、顔をそむけることもできなかった。
「んん……っ」
抵抗もできないくらい強引で乱暴なのに
触れる唇は驚くほど優しくて
頭がおかしくなりそう……。
彼の舌が、指先が与える
狂おしいほど甘い刺激に翻弄されあたしの意識はぼんやりと麻痺していく。