【惑溺】わたしの、ハジメテノヒト。

彼女の想い

 

『12月8日

気付けばもう12月だ。


授業中
ぼんやりと窓の外を見ると、
前庭の木蓮の樹が北風に吹かれて
なにかが崩れ落ちるみたいに
次々と大きな葉を落としていく。


リョウくんの左手首には
いつもあの茶色のシュシュ。


あたしはそんな彼を見るのがつらくて
窓の外の観察ばかりする』

< 86 / 171 >

この作品をシェア

pagetop