【惑溺】わたしの、ハジメテノヒト。
きっと、
あの茶色いシュシュの女の人だ
あたしと似た声をしたリョウくんの好きな女の人だ……。
「もう、腹立っちゃってさぁ。その女にリョウの悪口言って、さっさと別れろとか言って」
彼女は細い煙草を持った手でおでこを覆うようにして顔を隠し、肩を震わせて笑った。
「そしたら、リョウが来て」
ゆっくりと顔を上げ、窓の外をどこか遠い目をしてながめながら彼女はリョウくんの事を話す。
「あんなに怒ってるリョウをはじめてみた」