☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3
「じゃあ、ありがとうございました。桜、お前は俺と来い。薫が待ってる」
「はーい」
空気に合わせて、今日は、大人しくしていた桜。
恐らく、ここで捕らえられた男たちの後始末のとき、先頭を切って指示し、中岡組の処分などをする薫と共に、今日貯まった動けなかった分の体力を発散するつもりなんだろう。
「桜!無茶はダメだよ!」
叫んで、そう言えば。
「はーい!」
彼女は元気よく、返事する。
「相馬も!沙耶を叱らないでね!」
「無茶したこと以外は、叱らねぇよ」
「ほんと?そこんとこ、よろしくね!」
沙耶の願いは、家族が幸せに笑っていること。
相馬と結婚し、守りたい家族が二つに増えた今、沙耶は相馬にも笑っていてほしいと望む。
「……大丈夫よね、二人なら」
前世の定めすら、越えたのだ。
だから、きっと、大丈夫。
「帰ろっか、柚香」
「ええ」
誰しも、愛する人と過ごしたい。
それが、ただ、ひとつの願い。