☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3


一ヶ月も休みをとるというのは、一日に相馬が片す仕事量から考えると大変なもので。


何も考えなくてすむように、と、時が経つに増えていった仕事量が、こんなところで仇となる。


「相馬、いくらなんでも、無茶だと思うけど」


沙耶の誘拐事件から、十日。
一ヶ月の休みをとるため、相馬はほぼ、不眠不休で働き倒していた。


現在、午後2時。


昼飯を取ったあと、予定に入っていた会議への移動中、相馬は車の中でさえも、仕事をしていた。


(移動中くらい、休めばいいのに……)


言ったところで、聞かないやつだとはわかってる。


でも、このままだったら、流石に……。


「無茶とか、やってみねーとわからねぇだろ?寝ないのは、慣れてる。だから、大丈夫だ」


「……睡眠は、人間の本能だよ?」


「どうした、やけに心配するんだな?」


「いや、だってさ……」


十日。

この十日で相馬が片付けた仕事の量は、普段の基準で図るのなら、余裕で二十日ぶんは片付けたであろう。


一日の仕事量は殺人並みなのに……一ヶ月も休みをとりたいからというのはわかるが、流石に、このままでは相馬は過労死してしまう可能性がある。


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