☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3
「今からは……俺だけを見ていれば良い」
そういえば、狼狽える沙耶。
「~~~っっ、せめてっ、部屋の中が良い……」
「じゃあ、行こうか」
沙耶を妻にしても、守り抜くことが出来ると、どこか自負していたのかもしれない。
でも、俺の身分では、それは不可能に近くて。
なら。
「愛してるよ」
そう微笑めば、
「私も……」
恥ずかしげに、沙耶が応える。
伝えられるだけ、伝えていこう。
あの後悔を、二度としたくないから。
沙耶は呼べば、振り返ってくれるから。
抱き締めて、くれるから。
(……もう、大丈夫)
人を愛することで、過去に終止符を打つ。
俺の中の母さんが、思い出になった瞬間だった。