☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3
『……お前、この手、どうしたんだ?』
怪我した私の両手に、私を車の中で襲った相馬が気づかないわけもなく、甲斐の渡した鍵を手に相馬はエレベーターの中で、私に尋ねた。
『…………ちょっと、刃物で切ったの。大したことないよ、私の不注意だし……』
怪我したことがバレているのなら、と、適当に嘘をつく。
すると、
『届けられた手紙の中に入っていたカッターの刃で怪我したことも、お前の不注意に入るのか?』
と、最上級の笑顔で返されて。
『……何で、知ってんのよ』
嘘ついた意味がないじゃないか。
バレたら、手紙の犯人がさらけ出されると思ってからの嘘なのに。
『俺に幼馴染みと間蝶が、何人いると思ってる?』
まさかの情報源は、夏翠たち。
これは、そうとう、怒っていると思った。