☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3


「俺は、何度もいったろ?適当に付き合うと、あとが面倒だと。それを無視したのは、お前だろが」


「……」


何故だろう。

とても、甲斐の言動が嫌だ。


「少しは、年上の人間の言葉も聞けって話だ」


「……聞いたって、ろくな話はなかったはずだが?何より、お前は良いな?早くに紗夜華を見付けたもんな?」


「ほーう?」


「俺は、耐えられなかった。記憶のなかでしか存在しない、夕蘭を待ち続ける長い時間を」


長すぎた。


どうして、自分は生まれたときから、記憶をもって生まれたりなんかしたんだろう?


何度も、何度も、考えて。


辿り着いたのが、俺の過去。


「……沙耶は、そんなことを気にする質じゃねーと思うんだが?」


「ああ。……俺が悩んでいるのは、沙耶との仲直りのことだったな……」


甲斐に話を逸らされ、ずれまくっていたが。


「……別に、儀式を受けさせたくねぇ訳じゃねぇんだよ」


「じゃあ、なに?重鎮の言うことがいや?」


「……それをあるが」


儀式を受ければ、その女は妻となる。


それが一時期だろうが、


永遠だろうが、


妻は妻。


最初は、沙耶が儀式に耐えられず、死んでしまったら、俺はその時出来た子供を、果たして愛することが出来るのだろうか?


とか、


沙耶に苦しい思いをさせるかもしれないとか、考えた。


けど、普段の沙耶を見ていると、そんなことはどうでもよくなるような、なんとかなるような感じがして。


頃合いを見て、沙耶に儀式を受けさせようと思っていた矢先、心の中にあった感情が、一気に思い、気づいた。


“儀式を受けさせることは、沙耶を永久に御園という、闇の家に縛り付けることになる”と。

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