☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3
■悠哉side□



「……で、結局、どうするの?」


「残してるわ」


伊織と別れ、いちゃいちゃしていたはずの両親がいる応接間に行くと、二人は真面目な顔をして、向き合いながら……父さんに至っては、仕事をしていた。


「……処分していいと言われても、できるわけないじゃない?」


母さんは資料を手に、そう呟いて。


それが、俺を呼び出した件。


「本人が無くして良いって言ってんだろ?じゃあ、いいじゃん」


「……良くないわよ。そこには、思い出がたくさんつまってるのよ」


「思い出?」


うちの家は、不動産みたいな仕事もしている。


そのなかでの案件のひとつ……お金を払えないから、売りに出したいという話だったもの。


それなりに大きな一軒家で、可愛い作りの家。


見に行ってみると、今すぐにでも、生活できるほどに何でも揃っていて。


逆に不自然だった。


「この家ね、伊織が住んでた家なのよ。……家族と」


「っ……」


見に行ったときは、そんなことしか思わなかったけど……僕は、もう一度、資料に目を通した。


何枚かの写真を眺め比べていると、”芹川“の文字が。


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