☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3
(……これじゃあ、父さんと同じだな)
父さんも母さんに、おなじ思いを抱いた。
そして、実際に泣かせたのだ。
母さんを、守ったのだ。
でも、それは愛情ゆえ。
なら、俺が伊織に抱くのは?
愛情ではない。恋でもない。……たぶん、まだ、そうじゃない。
なら、何を抱くと言うのだろうか。
今の自分は、伊織のために何が出来るだろうか。
そう考えて、思い付いたのは。
「―母さん、俺さ、伊織を守りたいんだ」
そんな、こと。
「……守りたいって、どんな風に?」
一瞬、驚いた顔をした母さんは、首をかしげて。
「相馬みたいに、相馬が私を守ってくれるみたいに……伊織のことを守る?」
父さんの守り方は、愛しい人を守るやり方だ。
でも、俺……僕の心は、そこまでいってない。