☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3


(……これじゃあ、父さんと同じだな)


父さんも母さんに、おなじ思いを抱いた。


そして、実際に泣かせたのだ。


母さんを、守ったのだ。


でも、それは愛情ゆえ。


なら、俺が伊織に抱くのは?


愛情ではない。恋でもない。……たぶん、まだ、そうじゃない。


なら、何を抱くと言うのだろうか。


今の自分は、伊織のために何が出来るだろうか。


そう考えて、思い付いたのは。


「―母さん、俺さ、伊織を守りたいんだ」


そんな、こと。


「……守りたいって、どんな風に?」


一瞬、驚いた顔をした母さんは、首をかしげて。


「相馬みたいに、相馬が私を守ってくれるみたいに……伊織のことを守る?」


父さんの守り方は、愛しい人を守るやり方だ。


でも、俺……僕の心は、そこまでいってない。


< 263 / 493 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop