☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3
「まだ、この感情は、愛でも恋でもない。でも、そばにいたい。守ってあげたい。あの頼りなげな、孤独な背中を、肩を、抱いててあげたい。そのためには、強くならなくちゃならない。……そう思ってしまう俺は、変?」
尋ねると、母さんは首を横に振った。
「変じゃないよ」
たおやかに、微笑んで。
「大事な人を守りたいって思うことは、変なことじゃないよ。人を守るためには、強くならなくちゃならない。強くなるってことは、人に優しくなってあげないとならない。本当に強い人は、自分を犠牲にしてでも人に優しく出来る人だからね」
母さんが指している相手。
それは、勿論、父さんで。
「大丈夫よ。貴方には、二つの本性があるけど……でも、それすらも人に気づかせないほどに、あなたは無表情だった。この世の何もかもに興味がなさそうな……そんな感じだった貴方が、人を守りたい、守るために強くなりたいって願うことは、決して悪いことではないと、母さんは思うわ」
……この人は、俺の母親だ。
ふと、そう、実感した。
それっぽくなくても、確かに、24年前に俺を生んだ人なんだ。
死ぬ思いをしてまで。