☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3
「父さん、お願いがあるんだけど」
「……珍しいな」
「そう?」
「珍しいよ。……どうした?」
優しく、俺たちのことを見守ってくれてる両親に、頭を下げた。
「悠哉……?」
「母さんと話していた件なんだけど」
「?……ああ。あれのことか」
「うん」
今、自分には力がない。
伊織を守りたい。
そんなことを言っても、俺にあるのは、ほんの少しだけ。
あとのすべては、父親のものだ。
だから……
「俺、父さんの仕事を見てみたい」
自分も、力をつけよう。
今、自分に出来る、最良の方法で。
頷いてくれた両親に、俺は感謝する。
自然と、俺の口角は上がっていた。
―序章、完―
*≪君が笑ってくれるなら≫に、続きます*