☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3



茅耶が笑っていれば、その日は俺にとって良い日となる。


茅耶が泣いていると、抱き締めたくなって。


俺にだけ甘えてくる茅耶に、自惚れそうになる。


変な、期待を抱いてしまう。


彼女の中に、こんな感情は存在しないのに。


「……」


茅耶の枕元に腰を下ろし、茅耶の寝顔を眺めてて……思い出す。


(そうだっ、沙耶さん……っ!)


呼ばれてたのを忘れて、茅耶の寝顔に見とれるなんて……恥ずかしい限りだ。


すぐさま立ち上がり、俺は障子を開けた。


「―おやすみ、茅耶」


そして、一直線に沙耶さんたちの部屋を目指した。


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