☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3
頷けば、
「やった!ほらね!」
と、沙耶さんは笑みを溢し、
「……マジかよ」
相馬さまは、ため息をついた。
「?」
意味がわからない。
「……茅耶姉を想う人間がいることを喜んでるだけだから。気にしなくて良いよ、煌」
「お、おう……」
「両親のあれこれに突っ込んでたら、身が持たないからね。―で、用件はなに?」
本当に、この少女は小学生だろうか……。
切れ長の瞳を細め、千鶴ちゃんは問う。
「本気で、学校に間に合わないから。早くして」
時間は、午前8時。
確かに、俺もマズイ時間だった。
まぁ、今日は行くつもりはないけれど。
「……千鶴、本当、誰に似たのかしら……」
「お前の言う、鶴に、じゃね?」
「そーかも」
「……私が誰に似てるかなんて、本当にどうでもいいから。早くしろ」
今更だが、親にこんな口を利いてまで、時間通りに学校に行こうとしている千鶴ちゃんは良い子だ。
何故に、この子の兄はあれなのか……。