☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3
もし、この先、茅耶から離れなければならないことがあったとしたら……俺は、御園の人間の持つ“忘却”で、茅耶を含めた、御園の秘密を忘れ去ってしまう。
その覚悟のもと、俺は茅耶の側にいることを決めた。
「ええ。その力を持続させるために、茅耶は子供を産まなくちゃならない。茅耶は、健康体だしね。兄弟も多いから、何人も……って、わけじゃないだろうけどさ」
「無理矢理は、絶対にない。俺も沙耶も、そんなことはさせないと決めている。でも、もし、年頃までに、茅耶の望む相手がいなければ……見合いとなるからな」
「だから、俺、ですか」
そう考えれば、わからないこともない。
これは、彼らの親心。
「ごめんなさいね。貴方に茅耶を授けるのは、私たちとしてはなんの心配もしていないのだけど……貴方、茅耶の側にいることで、色々なものを犠牲にしているでしょう?」
犠牲……
それどころか、茅耶の側にいることは苦痛ではないし、幸せを感じている。
だから、犠牲と言うほどでもないのに。
「そんなことは、ありませんよ?」
「そうかしら?そう言ってくれると、嬉しいけどね。茅耶も、貴方のことを心から信頼してるから。でも……少しは、自分のことを大切にしてね?」
「フハッ、なんですか。それ。してますよ。ちゃんと。じゃなかったら、茅耶を好きになりません」
感情を自由にしているからこそ、俺は茅耶を好きになったんだ。