☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3


「隠しておいたことは、謝る。でも、柊真の言うことも、その通りなんだ。俺達はこの家の生まれということだけで過剰に期待され、裏切られ、置いてきぼりにされてきた。それが嫌だから、社会勉強にもなるからという理由で俺達はあの学校に来たんだ」


柊真の言葉は、嘘じゃない。


人を信じたくても、信じられない。


だから、柊真はこんなことをしたんだ。


心から、彼らを信じるために。


「お前らに声をかけてもらったとき、とても、嬉しかったよ。初めて、だったから」


いつだって、持ち上げられてきたから。


「御園相馬の息子だから、御園の家の人間だから、媚を売っておけば良いことがある。妻になることができたら、一生、贅沢できる。柊真の周囲でも、同じことばかり。俺達は、それにうんざりしていた」


誰にも“自分”を見てもらえない生活。


見てくれるのは、家族と幼馴染みだけ。


嬉しかった。


例え、容姿としても。


『お前、格好良いな!』


……そう、言われたのは。


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