☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3
「あ、高校から、こっちに戻ってくることになったから。宜しくね」
「はい。必ずや、守らせていただきます」
これは、仕事。
私情とは、別。
そう、思ってても……
「俺のことは守らなくて良いよ。自分の身くらい、自分で守れるし」
昔から、この男に対してだけ、イラついて仕方がないのだ。
だから、気になっていたでも、恋愛方面ではなく、仕事の方面でだ。
時給の良いこの仕事を失うわけにはいかない。
「そもそも、女の子に守ってもらうとかねぇ……?」
ああ、また……こいつは人を怒らせる天才かもしれない。
「奏もお勉強、頑張ろーね」
「うっさい!」
この男は、どうしてなんでも出来るのだろう。
私がどれだけの努力をしても、いつも、軽々と越えていく。
そこが嫌い。
まぁ、勉強は大嫌いだし、私はスポーツバカだから……学力の方で、冬哉に勝てるはずはないのだが。