☆真実の“愛”―ただ、愛してる―３

そんな父さんが唯一、追いかけ、運命に足掻き、手に入れた女が母さん。


父さんには悪いけど、好きでもない女の相手なんて煩わしいだけだ。


面倒くさいのは、ごめんだね。


こう考える辺り、自分は基本的に母に似ているのだろう。


兄も姉も妹達も、性格に難有りだが、俺の場合、母さんに似たとしても、独特なこだわりがある。


兄弟のなかで、自分が一番、面倒くさい性分なのは、理解している。


“恋愛″なんて、本当にどうでもいい。


自分の関係のないところで、好きにしてれば良いではないか。


けれど、“いつか″


そう、思うのも、事実で。


いつか、自分にも父さんにとっての母さんが手にはいるのではないかと思うんだ。


最も、愛せる人間を手に入れた暁でも、自分はこのまんまだろう。


この人格でも、受け入れられる女を。


愛しい、女を。


そんな女を近々、手に入れることになるなんて、俺は全く、考えてもいなかったんだ。