☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3
「わぁー!やっぱり、風が気持ちいい~‼」
いきなり、扉が開いて。
笑顔の女が入ってきたときは、驚いた。
「……と、先客?ごめんなさい、うるさくして……」
そして、俺に気づくと、この台詞。
叫ぶことなく、冷静にハッキリと謝られた。
その事にも、驚く。
俺を真っ直ぐに見つめて、強い目で見てくる女。
その目を、俺はよく知っていた。
「いいよ。屋上はみんなのものだからね」
関わらない方がいい……いや、関わりたくないと思い、俺は笑顔でそう返す。
女は怪訝な顔をした後、
「そう?ありがとう」
と、笑顔で言った。
そして、端っこの方で読書を始める。
女は俺を気にすることなく、本に夢中になっていた。