☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3
色々な生徒がいるこの学校。
そんな冬馬に声をかけることもせず、入ってきた女は、一心に本を読んでいて。
それは、三十分経った後でもそうで。
本来なら、声をかけてくるのに。
まぁ、静かなのは良いことだった。
景色を見るのにも飽き、やることなく、俺はぼーっと、空を眺めていた。
すると。
「グスッ……」
聞こえてきた、泣き声。
振り返ると、目に飛び込んだのは、本を手に泣いてる女。
―異様な、光景だった。
女は本を閉じ、ハンカチで目元を拭っているが……気になって、仕方がない。