☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3




「―……何で、泣いてんの?」


俺がそう尋ねると、彼女は頬を赤く染めた。


他の女と同類か……と、思い始めたとき、


「……は、恥ずかしいところを見せて、すいません」


と、耳まで真っ赤にして、彼女は謝ってきた。


(……恥ずかしい?)


女は恥ずかしくて、頬を染めたのか。


自慢ではないが、父から受け継いだこの容姿は女たちの格好の餌だった。


世間で言うところの美貌と呼ばれる部類に入るらしい、俺たち兄弟。


兄の悠哉は顔を使って仕事を行い、


もう一人の兄の冬哉は、この顔で女達をからかってた。


俺は女嫌いだから、兄達みたいなことはしなかったけれど、どこに言っても、顔の生で面倒ごとに巻き込まれてきたのだ。


あと、家のせいでもあるか……。


でも、それらは、誰も責められないものである。


誰も悪くないわけだから。


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