☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3
「……それは、どういう意味でしょうか?」
聞き返してきた。
「敬語も要らない。“トーマ″で良いからさ。何かあったら、言って。多分、俺のせいだし。あんたの身の安全は保証するから、また、今みたいに本の話を聞かせてよ」
「えっ……!?」
驚いたらしい。
そりゃ、そうだろう。
自分でも、変なことを言っていると思ってる。
けれど、心地良い。
女相手にこんな気持ちを抱くなんて、変な感じだけど。
だけど、何故か、彼女を自分に繋ぎ止めないといけないと思ったんだ。
「……いや?」
「いえ、別に……あんなので良いなら……」
「良いんだよ」
心地よい、葵の声は俺を夢の世界へと誘ってくれる。
俺の身分を知らずとも、優しく接してくれる。
母さんに似ていて、暖かく、優しい存在。
こざっぱりとした面で、香水臭くもない。
だから、安心できるのかもしれない。
戸惑う葵を眺めていると、自然と笑みが漏れる。
こんなこと、久しぶりだ。
眺めていると、古い記憶がよみがえった。