☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3
『だめだよ。女の子には、優しくね?』
何度も、俺にそう言い聞かせようとする冬哉。
『嫌だよ。母さんを傷つけたじゃないか』
その言葉に、冬哉は優しさを見せた。
『母さんを傷つけた奴等は父さんが“処分″したから、大丈夫。冬馬、女の子は傷つきやすいんだ。母さんを見てたら、分かるだろう?』
『……ん』
『家族を大事に思うのは、わかる。母さんが大事にしてくれている分、僕らも母さんが大事だからね』
俺の手を優しく握って、冬哉は言ったんだ。
清清しいほどの笑顔で。
『冬馬に敵意を向けてくる人間だったら、良いよ?でもね、理由もなく、人を傷つけるのはダメ。それは、いつか、自分に返ってくるから』
あの日、そう言われてから見た冬哉と周りの関係。
冬哉がうまく人と付き合っていることに気づいた。
それを真似した俺は、二重人格になった。
仕方がないことだと、思う。
俺は、そういう人間だから。
いや、そういう風にしか、生きてこれなかったんだから。