☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3
「……?どうかしました?」
そんな世界で生きてきたから、俺は余計に。
余計に、人を簡単に傷つける偽善者が駄目なんだ。
体が受け付けない相手。
知っている女達は、親しいものは、“欲″を持たないから。
だから、余計に俺等の身分を知れば、“欲″を持つのが普通の女の反応なのに、それらを“汚い″と思ってしまう。
そんなやつらが、俺は苦手なんだ。
「何でもない」
そっけなく返すと、葵は笑った。
「……何?」
笑いだすから、何事かと思うと、
「いえ、何でも」
彼女は俺と同じことを言って、笑うのをやめた。
俺に寄ってきた女達の目には、常に何か映っていた。
“欲″、“恋情″、“嘲笑″……
そして、それらは母さんや妹達を傷つけたんだ。
だから、嫌いだった。
けど、この女は違う。
愚かしいほどに、俺を見る瞳に映るのは“優しさ″。
母さんと同じ瞳をもったこいつに、俺は興味をもつ。