☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3
そんな彼と出逢ったのは、9歳の時。
『一ノ瀬絋です。初めまして』
決して、良い初対面ではなかった。
だって……
『……で、なんで、木なんかに登っておられるのですか。お嬢』
私を見上げて、自己紹介をしやがったからだ。
『……貴女には関係ないことでしょ』
私は、彼にそう返した。
彼は初対面から、感じが悪かった。
『ま、そうなんですけどね』
9歳にしては、冷めていた絋。
私の言葉に食い下がることもなく、私を放っておいてくれた。