☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3
■絋side□





面倒くさい、主を持ったもんだ……。


「……おい、しゃがみこむな」


俺に声をかけるのは、俺と美耶のやり取りを見慣れた連中である。


「相変わらず、見た目に沿わないなぁ……あの嬢ちゃん」


「喧嘩が激しいよな」


「ってか、お前も素直じゃねぇなー」


そして、俺の本心をよく知っている連中でもある。


「心配なら、心配って素直に言えば良いのに。意地張って……まぁ……」


「うっ……」


美耶から押し付けられた万札を手で掴んで、握り潰す。


「にしても、さすが、お嬢……万札をぽいっと……」


「あとで返すよ」


「使わなかったら、いじけるんじゃない?」


その通り。


面倒くさい幼馴染みこと主は、そういうところがある。


(お人好しと言うか、なんと言うか……)


「別に、俺は……」


「傍にいられれば、絋は構わんのやろ?」


代弁するように言う、友(多分)一人目。


「可愛いなぁ……絋は」


「うんうん。昔から、一途だよねぇ~」


続く、友(多分)二人、三人……。


「うるせーよ」


友達と呼んで良いのかはわからないが、幼馴染みである三人。


こいつらとつるんでいるから、別に、辛いとかはない。


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