☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3
「っ、真耶?」
彼の背中に手を回し、胸に頭を埋めて。
「……好き」
私は、呟きました。
でも、
「………………真耶、お前、何歳だっけ?」
「……18」
「……大きくなったな」
「あれから、6年だもの。大きくもなるわよ」
夏渡は、返事はくれません。
毎回、その度に泣きそうになります。
「……つまりは、今年で卒業、か」
高校を意味していること、分かってます。
私は顔をあげずに、話し続けます。
「そうね」
夏渡の心臓の音は、とても、心地良い音。
安心するリズムに、私は目を閉じました。
「大学は?」
「そのまま、上がるわ。習得しておかなければならないこともあるから。でも、殆どは会社に行くでしょうね」
卒業と同時に、始めるつもりだ。
「開業、すんのか?」
「ええ」
その為に、準備している。
「そんとき、俺にいてほしい、と」
「……ええ」
別に、平気です。
裏切られる……この言い方は、夏渡に申し訳ないけど、慣れているから。
統治者は孤独の運命だと、昔、父さんが言っていました。
だから、覚悟はしています。