☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3
「真耶、顔、あげろ」
「……嫌」
泣き顔は、見られたくありません。
弱い女だと、思われたくないから。
「真耶、」
大切にしてくれているのは、分かってる。
自分でも面倒くさい性格をしていることは、わかる。
キスをされても、期待してはいけない。
それくらいで期待できるのなら、悲しくなんてならないでしょうから。
それでも、それでも、好きだから。
諦めたく、ないんです。
「ったく……真耶!」
矛盾した考えに、自己嫌悪に陥っていると、再び、顔をあげさせられました。
両頬を、包まれて。
そのときの衝撃で、涙が頬を伝います。
「あ、あれ……?」
私は、自分で戸惑いました。
久し振りなんです。
泣くのなんて。
「……」
夏渡は何かを言いそうになり、言い止まる。
こんな顔をさせたくないから、泣きたくないんです。
“私”に泣かれれば、彼は優しいから、何も言えなくなるんです。