☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3
「だから、持ってきたんだよ」
「何を?」
訊ねると、
「……後でな」
彼は、そう言いました。
「プレゼント?」
「そんなとこ」
「楽しみ」
「おー」
……様子が、変です。
「夏渡、もう、泣いてないよ?」
涙は止まったのに、私の頬を撫で続ける夏渡。
「あー、そうだな」
夏渡の優しい手は頬から首に滑り、髪に触れる。
「綺麗だよな、お前の髪」
切るのも面倒で伸ばしっぱなしの髪は、祖母譲りで、とても豊か。
「ありがとう?」
何て言ったら良いのかわからず、とりあえず、お礼を述べる。
「な、夏渡?」
すると、今度は抱き締められる。
「ど、どうしたの?」
何をしても、触れることのなかった夏渡はタガが外れたように、私に触れる。
「良いじゃねーか。抱き締めるくらい」
確かに、嬉しいけど……。