☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3
「どんどん綺麗になるお前を見て、俺が何も思っていないとでも?綺麗になって、男がよってくるくせに、一途に自分を好きだと言ってくれる女に惹かれないはずがないだろが」
「そ、そんなの、聞いてない!」
「今、初めて言ったからな」
「もっと、早く言ってよ!」
「言えるわけないだろ?」
「……」
腕に包まれたまま、言い合う。
けど、頭がボーッとして、考えが邪魔される。
「……ほんと、綺麗になりすぎ」
「そ、そんなこと言われても……」
「解ってるよ。沙耶さんも、相馬さんも綺麗な人だからな。その娘のお前が、綺麗にならないはずがないってことぐらいは。でもな、お前を前にして、毎回、理性と闘い、勝ち続けてきた俺を誉めてくれ」
「……」
「で、責任、取って貰えるのか?」
「せ、責任、とは?お金なら、ありますが……」
逃げようにも、逃げられない。
抱き締められているせいで、退路がない。
「お金なんて、要らないよ」
キッチリと職に就き、ちゃんと稼いでいる今の彼からすれば、確かに必要ないものだ。
「じゃ、じゃあ……どうすれば……?」
夏渡の手が、後頭部に回る。
密着する身体に、心臓が忙しない。
見上げると、夏渡は微笑んだ。