俺だけのLovelyメイド
この人……誰?



「…あの」



「ねね、ヒマだったら俺に学校案内してよー。さっきからずっと、ぼーっとしてるし」




そう言って、その人はあたしの腕をギュッと握って来た。


急に腕を掴まれ、思わず持っていたチラシを下に落としてしまった。

バサバサと音がして、お化け屋敷のチラシが地面に広がる。




「まあまあ、いーじゃん‼行こ?」



「ちょ……っ、離し」
「──すいません、離してもらえますか?」




グイグイと腕を引っ張られて連れて行かれそうになった、その時。

頭の上から聞こえたのは……聞きなれた、声。



ゆっくりと、顔を上げてみた。





「……と、うじょう」



「大丈夫か?」




無理矢理男の手をあたしの腕から離し、そう言って笑う東條。
< 158 / 320 >

この作品をシェア

pagetop