俺だけのLovelyメイド
そう言ったのは、もちろんお母さんで。

どうしてわかっているのか、不思議に思ったあたしは当然あたふたと慌ててしまった。


そんなあたしを見て、お母さんはまたクスクスと笑みを浮かべる。




「わかるわよ。
だって私、蘭のお母さんだもの」




──“お母さん”という存在が、こんなにも安心出来るものだなんて。

あたしは今まで、知らなかった。


……わかって、いなかった。





「東條の、ね……」



「うん」



「許嫁だって人が、来て……」



「うん」



小さい子をあやすように何度も何度も優しく頭を撫でながら、お母さんは何も言わずにあたしの話を聞いてくれた。




「……あたし……どうすれば良いのか、わかんないの……」
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