俺だけのLovelyメイド

***


「ほら、あそこ」



「……ホントだ」



茂みの中から、顔だけ出して二人の様子を覗き込む。
そんなあたしを見て、生嶋くんは呆れたように小さなため息をついた。




「お前さあ、もうちょっと普通な感じに出来ないわけ?
俺、さっきから周りの人たちの視線が痛いんですけど」



「仕方ないじゃん。
あたし達今、東條と香乃華さんを尾行中なんだからっ」




あたしはそう言いながらも、じっと茂みの中から二人を見つめる。


場所は、遊園地の中の小さなカフェ。

そのベランダ席で、優雅に紅茶やらコーヒーやらを飲んでいる二人。



……なんか、お似合いだよなぁ。


付き合ってるのはあたしのはずなのに、あたしから見ても香乃華さんとの方がお似合いに見えるよ。
< 251 / 320 >

この作品をシェア

pagetop