俺だけのLovelyメイド
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「ほら、あそこ」
「……ホントだ」
茂みの中から、顔だけ出して二人の様子を覗き込む。
そんなあたしを見て、生嶋くんは呆れたように小さなため息をついた。
「お前さあ、もうちょっと普通な感じに出来ないわけ?
俺、さっきから周りの人たちの視線が痛いんですけど」
「仕方ないじゃん。
あたし達今、東條と香乃華さんを尾行中なんだからっ」
あたしはそう言いながらも、じっと茂みの中から二人を見つめる。
場所は、遊園地の中の小さなカフェ。
そのベランダ席で、優雅に紅茶やらコーヒーやらを飲んでいる二人。
……なんか、お似合いだよなぁ。
付き合ってるのはあたしのはずなのに、あたしから見ても香乃華さんとの方がお似合いに見えるよ。