俺だけのLovelyメイド
「もおー何でー‼‼」




半泣き状態のまま、あたしはくるりと向きを変える。




「あ、泰臣様も一緒に連れて行って下さいね?」



「……ハイ」



そっか。アイツもいた。


あたしはしぶしぶ部屋へと戻り、こっそりとドアを開けた。

あれ……いない?




「遅い」



「……っ!
東條っ……アンタいつから後ろに!?」



「遅刻すんだけど」




あたしの肩に手を置いて、ダルそうにそう呟く。




「……じゃあ先行けよ」



そのお返しにあたしは、聞こえないような小さな声で皮肉たっぷりに呟いた。




「ん?何か言った?メイドさん」



「いいえ別に?」




……コイツ地獄耳だ。

前々から思っていたけど、たった今確信した。
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