俺だけのLovelyメイド
「すまんが、放課後準備室の掃除をしてくれんか?」



申し訳なさそうにそう言う、国語のおじいちゃん先生。
あたしが口を挟む暇もなく、東條は「わかりました」と返事をした。


……嫌だな、行きたくない。





「……ねえ縁、放課後の掃除代わってくれないかな?」



「え?……けど、」



やっぱり縁も、東條のことを気にしてくれているみたい。


けど──……
あたしはまだ、笑って「おめでとう」って言えるほど立ち直ってはいない。



今、二人きりになったら。

あたしは東條に、どんなことを言ってしまうかわからない。




「お願い」



「……わかったよ、そのかわり教室で待ってて?一緒帰ろ」



縁が、笑ってそう言ってくれたから。
あたしも少し笑って頷いてみせた。
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