俺だけのLovelyメイド
***
次の日。
あたしはいつも通り学校に行った。
下駄箱で靴を履き替えている時に、突然後ろからポンと肩を叩かれた。
「おはよ、蘭ちゃん」
その声が聞こえた瞬間、あたしの動きはピタリと止まった。
振り向かなくてもわかる。
この声は……
東條 泰臣(トウジョウ ヤスオミ)
ハチミツ色の髪に、着崩した制服。
多分女子から一番人気のある男。
同じクラスで、あたしが今一番苦手なヤツ。
「……東條くん。
むやみにあたしに話しかけないでくれませんか?」
「えー、蘭ちゃん冷たーい。
明日からひとつ屋根の下で生活すんのに」
……なっ!?
あたしは驚いて、後ろを振り向いた。
当のコイツは、ニヤニヤと笑いながらあたしを見ている。
「……どういう事よ」
「あれ、聞いてねえの?
蘭ちゃん、明日から俺ん家に住むんだよ」