俺だけのLovelyメイド
「……で、あたしアナタと違っていつも電車通学なんですけど」



皮肉たっぷりに、軽く睨みながら口を開く。

でも、東條はいつものウソっぽい笑顔をあたしに見せた。




「俺、人混み嫌い」



「……は?」




“人混み嫌い”ってことは、電車では行かないってこと?

つまり、あたしと一緒には行かないってこと!?




「やった‼」

「表に自転車、あるから」



「…………え、自転車で行くの?」




あたしの質問に、東條はニコリと笑って答えた。




「もちろん、蘭が前な?」




……前?

ちょっと待てよ?
“前”あるってことは、“後ろ”もあるってことで……




「あたしが前ってことは……」



「しっかり漕いでね、蘭ちゃん♪」




笑顔で、ポンとあたしの肩を叩く。
< 30 / 320 >

この作品をシェア

pagetop