俺だけのLovelyメイド
ねえ……この人は、ダレ?

あたしは、知らない……
こんなの……





「────蘭、


……泣いてんの?」




突然香った、あの香水の香り。
東條の指が、そっとあたしの頬を伝う涙をすくう。



あ、れ……?
あたし……何で泣いてるの?

泣く意味なんか、ないのに。
やっと東條から、離れられるのに。





「………蘭?」




東條の優しい声が響き、あたしは顔を上げた。


東條の顔を見た瞬間……
あたしの頬から、ポタリと涙が落ちる。



ああ、そっか。
今、やっと気付いた。


あたしはいつの間にか……
こんなにも、東條のことを好きになっていたんだ。




東條から目線を反らし、ギュッと下唇を噛んだ。
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