俺だけのLovelyメイド
「……っ」



バカみたい。
気付いた瞬間、失恋なんて。





「蘭、どうし」
「……触んないで」




伸びてきた手を振り払い、自分で涙を拭う。


これ以上、優しくしないで。





「…………」





立ち上がった瞬間ふらっとしたけど、あたしは気にせずドアに向かった。





「ちょ……待てよ‼


……家、連絡すっから。
それまで、ここで待ってろよ」




何、言ってんの?
こんな気持ちのまま、東條の隣になんて……





「……帰る。手、離してよ……」




いられるワケないじゃん。


東條は一度あたしの顔を見て……そっと、掴んでいた手の力を弱めた。





「……バイバイ」



あたしはこの時……自分から、手を離した。

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