俺だけのLovelyメイド
次の瞬間。
あたしの身体は、勝手に動いていた。


東條の腕を引っ張って非常階段まで歩き、東條の背中を押す。
押された東條は、そのまま床に倒れ込む形になった。





「~~ッてー……お前いきなり何っ……」




その言葉に耳も傾けず、東條のシャツの胸元を引っ張った。


チュッ……

ほんの一瞬だけ、触れた唇。





「……え」



「────……なんでよぉ……」




あたしの頬を伝った涙が東條の頬にポタリと落ちる。


座り込んだ東條の胸元をギュッと握ったまま、自分が何をしているのかもよくわからないまま。
気付かないうちに涙が溢れていた。





「冷たくしないでよ……っ
突き放さないでよぉ……‼

こんなにも好きにさせといてっ……いきなりこんな態度取らないでよっ……」




そのまま、ギュッと東條に抱きついた。
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