俺だけのLovelyメイド
唇が離れて、東條はそっとあたしの頬に触れた。




「……俺はずっと好きだったよ」




フワリと香る、香水の香り。
なぜかそれが、懐かしく感じた。




「……嫌われてるって、わかってたけど。

どうしても、側にいたかった。
もっと嫌われるの覚悟で、毎日蘭に話しかけてた。


だから正直、蘭が家に来るって聞いた時めちゃくちゃ嬉しかったんだ。

蘭が嫌がってたのは知ってたけど……やっぱ、側にいたかったんだ。


……でも────」




そこまで言うと、顔を上げてあたしを見つめる東條。

視線が絡み、急に見つめられたあたしはドキッとした。





「俺のせいで、蘭にはキツイ思いさせた。


俺の側にいなかったら……蘭は倒れることなんてなかった」
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