あなたの心を❤️で満たして
…そう思ったけれど、彼が連れて帰ってくれたのはやはりあの殺風景な屋敷で、その無機質で庭木の一本もない中に車が入って行った時は、まるで一生此処から出して貰えないような気がしてしまい、ズゥン…と気分が落ち込んだ。



「ごめんなさい。ちょっと休んできます」


車から降りるとそう言って逃げだした。
黒沢さんがどうこうとかではなく、自分の中で断ち切れない思いが溢れそうになっていた。


出掛ける前は少しだけ気持ちが浮かれていた。
形だけとは言っても旦那様と初めて外へ行けると思ったから。


色んな話をして気持ちを通わせることが出来ればいいな…と願った。
この一週間、ずっと会話らしいこともしてこなかったから。

だけど、現実はやはり変わらなくて、私は彼の世界に馴染めないものばかりを見てしまい……


それを知ったら、やはり自分は孤独なんだ…と思ってしまった。
黒沢さんは私なんて居なくても、研究だけがあればきっと生きてるいける人なんだとしみじみ感じてしまった。



(なのに、どうして結婚なんてしたの?)


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