あなたの心を❤️で満たして
何だかムカムカと怒りに近い感情が湧き出してきて、怒ったところでどうなる訳でもないんだと思い直した。

このまま明日の朝までベッドで過ごし、彼とは接触もしないでおこうと決め込んだ時ーーー


トントンと軽くノックする音が聞こえ、ウソ…と思いながら布団から顔を覗かせた。


『トントン』


もう一度ノックが聞こえ、黒沢さん?と思いながら小さく「はい…」と返事した。


「気分はどう?起きれる?」


間違いなく旦那様の声だ。
絶対に知らん顔されてお終いだと思っていたのに。


「入っていい?」


「えっ…あの…」


「入るよ」


言うが早いかさっさとドアを押し開けてくる。
私がいいと言わないうちに彼はドアの隙間を潜り抜け、真っ直ぐと私のいるベッドへと近付いて来た。



「あ…の…」


「食欲ある?何か食べた方がいいと思って」


ガサッと音を立てながら見せられたのはコンビニの袋。
ぽかんとしていると、中から色んな物を取り出してきた。


「ずっと飲まず食わずで寝てたんだろ。先ずは水を飲んで。それからサンドイッチとかおにぎりとかも買ってきたけど…」


< 103 / 283 >

この作品をシェア

pagetop