あなたの心を❤️で満たして
新婚夫婦の邪魔ばかりして…と苦々しそうに言っている。私は日曜日のことは自分の仮病だと言えず、少し心苦しくなってしまった。


「それでお坊っちゃまは土曜日も日曜日も何をしていたのですか?」


「え…それはちょっと分からないけど……」


私はずっと部屋に閉じこもっていたのだ。だから、彼がこの家の中に居たのかどうかさえも知らない。


「もう、何なんですか、お二人とも。縁あって夫婦になったというのに…」


廣瀬さんはすっかり呆れ、ブツブツと愚痴をこぼしながら玄関を掃きに行った。
私は彼女に言われるまでもなく、どうして結婚をしたのかとずっと考え続けていたけれど、結局は祖母が亡くなり、あの家を出なくてはいけなくなったからだと結論付けた。



朝食の準備が整う頃になって、のっそりと冬眠から目覚めたクマみたいに黒沢さんが起きて来た。
廣瀬さんは彼にも愚痴をこぼし、何をしていらっしゃったのですか!?と詰問した。


「留衣様が具合が悪いと言うのにお一人で出掛けたりしてませんよね」


問うと言うよりも断定的な聞き方をする。
流石の彼もだんまりで頷くのも嫌みたいで。


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