あなたの心を❤️で満たして
(うわ~~!来る〜〜っ!!)


来ないでぇ…と一瞬願う。
目をぎゅっと閉じたまま足音だけを耳にして、どんな顔をして会えばいいんだろうと模索した。



「三上さん、この紙に署名をすればいいのか?」


(へ?)


声が聞こえてきたのが、私が頭を下げてる方向とは逆だから驚いた。
恐る恐る後ろを振り返ると、相手は既に隣に来ていて。


「何処に名前を書くんだ?…ああ、ここか」


婚姻届の用紙を手に取り、署名欄を確認すると椅子に座った。

私が立ったまま呆気に取られているうちに名前や住所などを書き終わり、さっと私の前に用紙を差し出してきた。



「はい、君の番」


タッチ交代とでもいう雰囲気で、じっと横目で見ている。

その色気のある眼差しとスッキリと整った顔立ち。

形良く整えられた眉も小鼻が小さめな高い鼻も、少し肉厚そうな唇でさえも、全てがドラマか何かに出て来そうな雰囲気だ。



「えっ?…えっ?」


自分には勿体無いような美形男子を前に、バカみたいに狼狽えまくった。


「留衣様、お早く署名を。そろそろ準備を始めないといけませんから」


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