あなたの心を❤️で満たして
「黒沢さんは私と離婚したいんでしょ!?さっきの電話、土曜日に会った和田教授ですよね。その娘さんとお付き合いしているんでしょ?貴方の恋人なんですよね!?」


彼女が恋人なら私は彼の何だ。
降って湧いた厄介者みたいで、どうしようもないほど惨めで仕方ない……。


「ちょっと待って。何の話?」


驚く彼の態度が白々しくて、私は「もういい!」と声を上げた。


「私、この家を出ますから!さよなら、黒沢さん!」


言うと同時に廊下を走り出した。
パタパタ…と廊下を走り抜ける足音は、当然私のものだけではなくてーー。



「ちょっと待って!」


後ろから追いかけてくる黒沢さんのも響いて、バタバタと煩く反響している。


待てと言われも待つもんか。
もうこんな寂しくて、だだっ広い家とはおさらばするんだ。
以前住んでいた家に帰って、一人でもいいから生活をする。


買い手の人にはお金も全部返すからどうか家を譲って欲しいと願おう。
直ぐには住めなくてもいいから、事情を話して分かって貰おう。



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